節税に役立つ不動産活用とは?高齢者の贈与税相続税対策を解説の画像

節税に役立つ不動産活用とは?高齢者の贈与税相続税対策を解説

不動産相続

山本 真紀子

筆者 山本 真紀子

不動産キャリア7年

高齢になり、不動産を含む財産が増えてくると、相続税や贈与税をどのように抑えるかが大きな不安になりがちです。
しかし、不動産の持ち方や活用方法を工夫することで、節税につながるポイントは意外と多くあります。
例えば、自宅や賃貸用物件にかかる固定資産税や、将来売却したときの譲渡所得税まで含めて整理すると、どこから手を付ければよいかが見えてきます。
このブログでは、高齢者が検討しておきたい不動産の節税対策を、基礎からわかりやすく解説し、贈与税や相続税でお悩みの方が、具体的な一歩を踏み出せるようにお手伝いします。

高齢者と不動産の節税基礎知識

高齢期に不動産を所有していると、主に相続税・贈与税・固定資産税・譲渡所得税の4つの税金が関係してきます。
相続や生前贈与をきっかけに不動産を取得した場合でも、毎年の固定資産税と、売却時の譲渡所得税が別にかかる点が重要です。
また、譲渡所得税は土地や建物の譲渡によって生じる所得に対して課税され、他の所得と分離して税額を計算する仕組みになっています。
このように、不動産を軸に複数の税金が重なるため、全体像を早めに把握しておくことが節税対策の出発点になります。

まず、相続税については、遺産総額から基礎控除額を差し引いた残りの金額に対して課税されます。
基礎控除額は、相続税法に基づき「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算され、不動産を含む全ての課税対象財産の合計がこの金額を超えると相続税が発生する仕組みです。
一方、贈与税は、原則として暦年課税で年間110万円を超える贈与額があると課税対象となり、直系尊属からの贈与かどうかなどで税率区分が変わります。
このような課税ラインを理解しておくことで、相続と生前贈与のどちらを優先するか検討しやすくなります。

節税対策を始める前提として、ご自身の財産の全体像を整理することが欠かせません。
具体的には、自宅や賃貸用を含む不動産、預貯金、有価証券、生命保険金、退職金など、相続税や贈与税の対象となり得る財産を一覧にし、評価額の目安を確認しておくことが大切です。
あわせて、配偶者や子どもの人数、前妻や前夫との子の有無など、法定相続人となる家族構成を整理しておくと、将来の相続税の負担や遺産分割の方向性が見えやすくなります。
これらの整理を行ったうえで、どの税金に重点を置いて節税を進めるか検討していくことが、高齢期の不動産対策では重要です。

確認したい項目 主な内容 節税につながる理由
関係する税金の種類 相続税・贈与税・固定資産税・譲渡所得税 将来の税負担の方向性を把握
課税ラインの確認 相続税の基礎控除額・贈与税の非課税枠 早期の生前贈与や対策の判断材料
財産と家族構成の整理 不動産・金融資産と法定相続人の把握 相続税試算と分割方法検討の基礎

贈与税を抑える不動産活用と注意点

高齢期の生前贈与では、毎年の贈与額に応じて課税する「暦年課税」と、まとまった額を贈与して将来の相続時に精算する「相続時精算課税」という2つの仕組みが中心になります。
暦年課税では、1年間の贈与額の合計から基礎控除額110万円を差し引いた残りに贈与税がかかります。
相続時精算課税では、原則として60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与について、通算2,500万円までの特別控除と一律20%の税率が適用され、将来の相続時に相続税の中で清算します。
どちらを選ぶかで負担の時期や総額が変わるため、制度の違いを理解したうえで検討することが重要です。

不動産を生前贈与する場合の評価は、相続税や贈与税と同様に、国税庁が公表する財産評価基準に基づき計算します。
具体的には、道路に面した土地は路線価方式、路線価がない地域の土地は固定資産税評価額に一定の倍率を掛ける倍率方式を用いるのが基本です。
建物部分は固定資産税評価額を基礎として評価し、その合計額を贈与税の課税価格とします。
このほか、不動産の名義を移す際には登録免許税が、不動産を取得した受贈者側には不動産取得税がかかるため、評価額だけでなくこれらの取得時の税負担も見込んでおく必要があります。

贈与税の負担を抑えるためには、贈与の時期や額、名義の持たせ方を計画的に考えることが欠かせません。
暦年課税を活用する場合は、毎年の基礎控除額110万円の範囲を意識し、複数年に分けて贈与することで課税対象額を抑える方法があります。
一方、相続時精算課税を選択すると、その贈与者からの贈与については暦年課税へ戻すことができないため、将来の相続税との関係も含めて慎重に判断する必要があります。
また、不動産の名義を誰にするかによって将来の相続人間の公平性や、相続税の計算方法が変わることもあるため、家族構成と相続の見通しを踏まえた名義設定が重要です。

項目 暦年課税のポイント 相続時精算課税のポイント
利用できる場面 毎年少額の贈与活用 高額な一括贈与向き
基礎控除等 年間110万円非課税 通算2,500万円特別控除
将来の相続との関係 3年以内贈与は加算 贈与分全額を相続に加算
制度変更の可否 原則その年ごと選択 一度選ぶと変更不可

相続税負担を軽減する不動産の相続対策

相続税では、自宅や賃貸用の不動産は現金よりも相続税評価額が低くなる傾向があり、これが相続税負担を抑える大きな手がかりになります。
例えば、自宅の土地は路線価や固定資産税評価額を基に評価されるため、市場価格より低い水準で計算されることが一般的です。
さらに、賃貸用不動産は貸家建付地や借家権を考慮した評価となり、同じ面積の更地より評価額が下がりやすいとされています。
このような特徴を踏まえ、居住用と賃貸用の使い分けを検討することが、高齢期の相続対策では重要です。

自宅土地については、小規模宅地等の特例を利用することで、一定の面積まで相続税評価額を大きく減額できる可能性があります。
たとえば、被相続人の居住の用に供されていた土地で、一定の親族が居住や持ち続けるなどの要件を満たす場合、最大で評価額の大幅な減額が認められています。
また、事業用や賃貸用として利用されている宅地についても、要件を満たせば、それぞれ別枠で評価減が適用される制度があります。
ただし、適用には相続人の居住状況や持ち分、申告期限までの届出など細かな条件があるため、事前の確認と準備が欠かせません。

不動産の相続では、誰がどの不動産をどのような形で取得するかを早めに整理しておくことが、税負担と家族関係の両面で重要です。
遺産分割には、自宅や賃貸物件をそのまま分ける現物分割、特定の相続人が不動産を取得して他の相続人に代償金を支払う代償分割、不動産を売却して代金を分ける換価分割など複数の方法があります。
現物分割は不動産を残しやすい一方、持分共有になりやすく将来の管理や処分で意見が分かれることがあります。
代償分割や換価分割を想定する場合には、代償金や相続税を支払うための預貯金や生命保険などの納税資金を、高齢のうちから計画的に準備しておくことが大切です。

対策の種類 主な内容 高齢期のポイント
自宅・賃貸の活用 評価額が下がりやすい形で保有 居住実態と将来の利用を確認
小規模宅地等の特例 自宅や事業用土地の評価減 適用要件と相続人の居住条件
遺言書と分割方法 現物・代償・換価などを指定 納税資金と家族間の公平を調整

高齢期に見直したい自宅・住まいの税制優遇

高齢者が安心して暮らし続けるためには、住まいの安全性の確保とともに、税金面での負担軽減も重要になります。
その一つが、自宅のバリアフリー改修に対する固定資産税の減額措置です。
地方税法に基づき、新築から一定年数が経過した住宅で、高齢者等が居住し、要件を満たすバリアフリー改修工事を行った場合、翌年度分の固定資産税がおおむね税額の3分の1減額される仕組みが設けられています。
減額を受けるには、工事完了後3か月以内の申告が必要とされている自治体が多いため、工事計画と併せて手続き時期も意識しておくことが大切です。

また、高齢者向けの住まいとして整備が進められているサービス付き高齢者向け住宅については、供給を促進するための税制優遇が用意されています。
高齢者住まい法に基づく登録を受けたサービス付き高齢者向け住宅を新築し、一定の要件を満たす場合、不動産取得税の軽減措置の適用対象とされています。
さらに、同様の住宅については、固定資産税についても、市町村が条例で定める割合を軽減する仕組みが設けられており、適用期間や軽減率は各自治体の条例で具体的に定められています。
このような制度を把握しておくことで、高齢期の住まいを選ぶ際に、長期的な税負担を見据えた判断がしやすくなります。

今の自宅を売却して住み替える場合には、譲渡所得に対する特例が利用できるかどうかを確認することが欠かせません。
居住用財産の売却については、一定の要件を満たした場合に、譲渡所得のうち3,000万円までを非課税とする特別控除が設けられており、高齢期の住み替えにおける税負担を大きく軽減できる可能性があります。
さらに、条件を満たした買い換えであれば、譲渡益への課税を将来の譲渡時まで繰り延べる特例が用意されており、当面の納税負担を抑えながら住環境を整えることも検討できます。
どの特例も適用要件や申告手続きが細かく定められているため、住み替えの時期や売却価格の見通しと併せて、早めに整理しておくことが重要です。

制度の種類 主な対象 税負担軽減の内容
バリアフリー改修減額 高齢者等が住む既存自宅 翌年度の固定資産税3分の1減額
高齢者向け住宅税制 登録を受けた高齢者向け住宅 不動産取得税と固定資産税の軽減
居住用財産の譲渡特例 自宅を売却し住み替える場合 3,000万円特別控除や課税繰延べ

まとめ

高齢期の不動産は、相続税や贈与税だけでなく、固定資産税や譲渡所得税にも関わる重要な資産です。
早めに財産一覧と家族構成を整理し、生前贈与や相続税の特例、バリアフリー改修や住み替えに伴う優遇制度を比較しながら検討することで、無理のない節税と円滑な承継が期待できます。
当社では、お持ちの不動産の状況やご家族の事情を丁寧にお伺いし、税理士や専門家への相談が必要なポイントも含めて整理しながら、最適な節税と相続対策を一緒に考えます。
「自分の場合はどうすればよいか」を具体的に知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

”不動産相続”おすすめ記事

  • 枚方市の持家相続登記の進め方は?義務化への対応ポイントを解説の画像

    枚方市の持家相続登記の進め方は?義務化への対応ポイントを解説

    不動産相続

  • 枚方市の相続物件売却でお悩みですか 登記費用や相談先の選び方を解説の画像

    枚方市の相続物件売却でお悩みですか 登記費用や相談先の選び方を解説

    不動産相続

  • 親の家の将来が不安な方へ?今からできる相続相談の進め方を解説の画像

    親の家の将来が不安な方へ?今からできる相続相談の進め方を解説

    不動産相続

  • 枚方市の家や田畑の相続税対策は?不動産の整理と準備の進め方を解説の画像

    枚方市の家や田畑の相続税対策は?不動産の整理と準備の進め方を解説

    不動産相続

  • 成年後見制度と民事信託の違いは?費用と枚方市の支援策を解説の画像

    成年後見制度と民事信託の違いは?費用と枚方市の支援策を解説

    不動産相続

  • 一人暮らしシニア必見の事前準備!後継者がいない人の住まいと財産の整え方の画像

    一人暮らしシニア必見の事前準備!後継者がいない人の住まいと財産の整え方

    不動産相続

もっと見る